StareReapとのコラボレーションを通して
思っていた以上に細かい部分の表現が可能で、デジタル画像を主とする自作品における複雑なレイヤー構造を、かつてないほど深い部分まで追い込んで現実世界に落とし込むことが出来た。データと、実際にStareReapによって印刷されたものを見比べて、もっともっとクオリティを上げていかねばと詰めていく制作は、新しい共同制作の可能性を感じたし、それを可能にする技術者の腕や熱意にも驚かされた。技術とそれを扱う人、どちらが欠けてもStareReapの表現は違ったものになっていると思う。「立体的に印刷できる」と言うと、シンプルすぎるゆえになかなかその凄さが伝わりづらいが、多くの人に実際の作品を見てもらうことでその凄さと可能性を発見して欲しい。今後も自分の作品でその手伝いが出来たら非常に嬉しく思う。
立体印刷と聞くと3Dプリンタを想起する人が多いかもしれない。StareReapは半立体的というか、平面の可能性を残したままデータ上の高低差や立体感を現実に表現していく点に自分としては強く惹かれた。平面の定義は難しいところだが、必要以上に厚さがなければ一般的には平面だと人は認識できると言える。平面の範囲内でかなり密度の高い高低差を微細に表現できるのが重要なところで、一見平面に見えるのによく鑑賞してみると細かな立体性を確認できる感触が魅力であり、可能性を感じる。一瞬脳が騙されたような感覚がある。この特性を活かしつつ今後も様々な作家とのコラボが見られたらより楽しみに思う。また、新たな質感や素材への印刷と立体印刷の組み合わせもどんどん可能になっていると聞いたので、期待している。加えて、現状における作業的なコスト、つまり時間や人員的な大変さが自動化されることによって解消できるのか、もしくは人を育てるほうで対応していくのかといった現実的な問題にも興味がある。いずれにせよ、画像を扱う作家の一人として、データを現実に落とし込む最前線の技術であるStareReapを注視していきたい。