StareReapとのコラボレーションを通して
StareReapには二つの面白さがあると思います。ひとつは、印刷物や絵の具の物質性を含めて忠実に再現できること。つまりそれは、本来のイメージに忠実にリアリティのある表現ができる。その延長にもなりますが、印刷物には存在してなかった立体感–それは完全な立体感でもなく、言うなれば2.5次元という“不思議な次元”の中で表現することができる。それは、リアリティとフィクション両方が同時に混在した表現ができるということを意味すると解釈しています。
立体感のバランスに関してはほとんどStareReapのプリンティングディレクターにおまかせしました。作品によっては、雑誌の裏うつりした文字までも一緒に立体化されていたり、とても複雑なテクスチャーになっています。次元の行き来みたいものがここにも現れていて、そういった部分も注目してもらえると嬉しいです。
僕がこれまでに取り組んできたコラージュは、すでに存在している写真や印刷物といった2次元のイメージの断片を組み合わせることで作品制作をしています。そこを押さえつつも、StareReapの技術によって作品を立体化するという作業は、立体の物が平面になり、それをまた作者ではない別の人が平面から立体を読み取ろうとする……何回も何回も次元を往復しながら、文脈も想定したものから変容していく。いろいろな人の手が入りますから、コラボレーションの中でも当然多くのやり取りが発生します。これが僕のやりたいことなんです。時代も文脈もどんどん混ざり複雑になっていく。僕はある特定のイメージを作りたいのではなく、それが姿を変えながらも、行き来している状況をつくりたいのです。StareReapは、その点で相性がいいなと思いました。